「真の勇者」ウルトラマンコスモス館

「真の勇者創作ストーリー館」

☆ご注意☆この文章に登場する氏名は、実在するウルトラマンコスモス作品中の
登場人物とは、当然、まったく、全然、関係がございません。ご了承ください。


NEW連載 Want a friend 《2004.07.02スタート》
文/イフリー

遥か遠くにある小さな惑星に小さな星人がいた。彼はひとりぼっちで友達が欲しかった。
しかし、彼がいくら友達になろうとしても周りの星人達は彼のことをかまってはくれなかった。彼はいつも孤独だった。
彼は家族も友達も恋人もいなく、ただ寂しかった。そんなとき、ある星人が孤独な彼のもとに話しかけてきた。
「なぜお前は一人でいる。」
彼は答えた。
「誰も僕のことを相手にしてくれない。僕は、友達が欲しいだけなのに・・・」
無表情な星人は答えた。
「そんなことか。ならば奪えばいい。友達も、家族も、恋人も、全て奪ってしまえばいい。」
「奪う?」
「そうさ。そして、自分の手元に置くがいい。欲しいものを得るにはそうするのがいいのさ。」
星人はニヤリと笑った。ここから、彼の物語が動き始める・・・
Want a friend


「最近ここいらで宇宙船が消えてるんだと。」
星々が煌めく宇宙を飛んでいたダイナは隣にいるコスモスに話しかけた。
「ここらへんで?」
「ああ。」
ダイナは正面を向いた。
「でもここは小惑星がたくさんあって宇宙船の操縦が難しいところだ。
宇宙船の一つや二つ、小惑星にぶつかって宇宙の塵になっちまってもおかしくな・・・」
ダイナはそのまま正面を見たまま固まったように沈黙してしまった。
コスモスは不思議に思ってダイナが見ている方向に顔を向けた。
「!!?」
そこには宇宙船が一隻宇宙に浮かんでいた。いや、吸い込まれていたというのが正しいか。
宇宙船の上空にブラックホールのようなものが広がり、あっという間に宇宙船は吸い込まれてしまった。
ブラックホールは宇宙船を飲み込むと、縮むように小さくなり、消えてしまった。
「おい、見たか今の・・・・」
「はい・・・」
二人はその様子をただ呆然と見ていた。
「町の人たちに聞いてみたんだがあの場所で宇宙船が消え始めたのは最近らしい。」
ここは宇宙船が消えた場所に近い惑星バニス。
ダイナはカフェテリアで椅子に座っていたコスモスの向かいの椅子に座った。
「近くに宇宙船を吸い込むようなブラックホールもなかったし、今までそんなことなかったんだと。
あ、お姉さん、サンドイッチとオレンジジュース!」
ダイナは隣を歩いていったウェイトレスに素早く注文した。
「それはおかしいですね。」
「ああ。何かあるな。」
ダイナは置いてあったコスモスのジュースを奪って飲み始めた。
「それに命からがら逃げのびた人が言うには『トモダチ・・・』とかいうテレパシーが届いたらしい。
とにかく、調べてみる必要があるな。あのブラックホールは誰かが作り出したもんだ。」
「ええ。このまま放っておけませんからね。・・・ってそれ僕のジュース・・・」
「気にすんなって」
ダイナはウェイトレスが持ってきたサンドイッチに手を伸ばした。
「俺はあのブラックホールに突っ込めばその犯人のところに行けると思ってるんだけどよ。」
「僕もそう思います。ですがそんなにうまい具合いにブラックホールが開くでしょうか?」
そのコスモスの言葉を待っていたかのようにダイナはニヤリと笑った。
「そう言うと思ってあそこを通る宇宙船の護衛を頼んできた。
ブラックホールは宇宙船を狙ってくるはずだからな。」
「さすがダイナさん!」
「だっろ〜」
サンドイッチを食べ終えたダイナはオレンジジュースに手をつけた。
「うまい具合いに宇宙船を逃がして俺たちがブラックホールに突っ込む。そんで犯人をとっちめる手筈さ。」
オレンジジュースのストローをくわえながらダイナは言った。
「それにしても届いたトモダチというテレパシー・・・何かそこがひっかかります。」
「それを考えるのは犯人と会ってからさ。今考えてもしょうがねぇからな。」
コスモスは無言でジュースに口をつけた。ダイナは空の皿を前に腹をポンポンと叩いた。
「とにかく、護衛は明日だ。しっかり休んどけよ。あ、それとこれはコスモスのおごりね。」
「えぇっ?!ダイナさん!!?」
コスモスがダイナを捕まえる前にダイナは素早く椅子から立ち上がり、駆け出していった。
こういうときだけは逃げ足が速い・・・コスモスは溜め息をついて椅子にもたれかかった。


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「2004.07.19更新」

「ブラックホールが現れたら俺たちがおとりになるからお前らは早くそこから逃げるようにしろよ。」
翌朝、二人は護衛をする宇宙船がある倉庫に来ていた。ダイナは宇宙船の操縦仕にあれこれと指導していた。
「なんだよ、辛気臭い顔すんなよ。俺たちは大丈夫だからよ。」
ポンポンとダイナは宇宙船を操縦する星人の肩を叩いた。コスモスはこの大きい宇宙船を見上げた。
普通の宇宙船より大きい。
ブラックホールを作り出している犯人は宇宙船を飲み込んでいったい何を考えているのか
・・・コスモスは宇宙船の銀色のボディに手を触れ、考えていた。
「おいコスモス。準備は整った。そろそろ出発するぞ。」 「あ、はい」
コスモスはダイナの方に振り向いた。ダイナはコスモスが何か深く思索にふけっていたことを見抜いたのか重苦しく口を開いた。
「あまり深く考えない方がいいぞ。体がうまく動かなくなるぜ。」 「はい。」
ダイナはそう言うとくるりときびすを返し、歩き出した。ダイナは無神経のように見えるが意外と他人を思いやる優しい心が強い。
それを知っていたコスモスはダイナの優しさがありがたかった。
倉庫の扉が開き、宇宙船は飛び立った。その左右をコスモスとダイナが飛んだ。
「そろそろ例のブラックホールが現れる場所ですね。」 「ああ・・・」
宇宙船はあのブラックホールが現れる場所を飛行していた。遠い星の光がこの宇宙の闇に煌めいていた。
二人はその後何も話さなかった。いつ、どこにブラックホールが現れるのか神経を研ぎ澄ましていたのだ。
「現れねぇな・・・場所を移したのか?」
ダイナが重苦しい雰囲気を破ってコスモスの方を向いたときだった。 「!!ダイナさん!」
突然、ダイナの左側に黒い空間が現れた。 「!!」 ダイナは素早く身構えた。
「やばい!思ったより吸い込む力が強ぇ!」
二人と宇宙船は徐々にブラックホールに近付いていった。
ダイナは吸い込まれないように踏ん張っていたがその力よりもブラックホールの吸い込む力が強かった。
「このままじゃ俺たちどころか宇宙船も吸い込まれちまう!」 「どこかにブラックホールの弱点があるはず・・・」
ブラックホールに引きずられるなか、コスモスは冷静にブラックホールの弱点を探していた。
このブラックホールは誰かの手で作り出されたもの、必ず何かあるはず・・・
そう思って探していたコスモスの瞳に空間のひずみが飛び込んだ。
「見えた!ダイナさん、ブラックホールの端めがけて光線を撃って下さい。
そこが空間のひずみでそこを撃てばブラックホールの吸い込む力が弱まるはずです!」 「よっしゃ!わかった!」
ダイナは両手を十字に組んだ。コスモスはスペースコロナモードにチェンジした。
「ソルジェント光線!」 「オーバールーブ光線!」
二人の光線がブラックホールの両端に命中した。その途端、ブラックホールはぐにゃりと歪み、吸い込む力が弱まった。
「今のうちに早く逃げろ!!長くは持たない!」
ダイナは宇宙船にテレパシーを送った。宇宙船はスピードを上げ、みるみる小さくなっていった。
その姿をダイナとコスモスは見届けると、くるりとブラックホールの方を向いた。
「よし、ブラックホールに飛び込むぞ」 「はいっ!」
二人は形がもとに戻りつつあるブラックホールに吸い込まれていった。

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「2004.07.24更新」

「・・・ここは・・・」
コスモスは周りを見回した。薄暗い空間に宇宙船が何隻も浮かんでいる。
大きいもの、小さいもの、様々な形の宇宙船が乗り捨てられたかのように浮かんでいる。
「宇宙船には誰もいないな。」
いつのまにか宇宙船のところにいたダイナがコスモスに向かって手をダメだというふうに振った。
「この宇宙船に乗っていた人たちはどこに・・・」
「自分からこのブラックホールに来る人がいるなんてびっくりだな。」 「!!」
二人は声が聞こえた方を見た。そこに光の粒子が集まりポンと音がして一人の星人が現れた。
「!まだほんのガキじゃねぇか。お前か、何隻もの宇宙船をブラックホールに吸い込んだのは。」 「うん。」
星人のあまりにも早い返答にダイナはずるりとなった。今のところ、この子からは敵意が感じられない。
そう思ったコスモスはスペースコロナモードからルナモードにモードチェンジした。
「君は・・・?」 「僕はミジー星人のマイラ。」
マイラと名乗ったミジー星人はやって来た二人を嬉しそうな瞳で見ていた。
「なぜ宇宙船をこんなに襲った?宇宙船に乗ってた人たちはどうした?」 ダイナは口調を緩めず続けた。
「トモダチが欲しかったの。」
「友達・・・?」 「と、友達ぃ〜?」
マイラの答えにダイナはすっとんきょうな声をあげた。
「そ、トモダチ。」 マイラはふわりと体を動かした。
「僕はずっとトモダチが欲しかった。だけど、誰も僕のことを相手にはしてくれなかった。」 「!!」
「だけど、教えてもらったの。欲しいなら奪えばいいって。だから、色々な場所に行って宇宙船をここに持ってきた。」
マイラは右手をスッとあげた。するとマイラの手の先に空間が開いた。 「!!!」
そこには様々な星人が空間に浮かんでいた。皆何かを叫んでいるようだったがここからは何も聞こえなかった。
「宇宙船の人たちはここにいるよ。いろんな星の人たちがいる。
いっぱい僕のところにトモダチがいる。だから今、僕はとても幸せ。」
マイラは至福の笑みを見せた。
友達が欲しい。切ない願いがこんな大きな事件を引き起こした。
歪んだ考えを植え付けられたあどけない星人にコスモスは胸が痛んだ。
「マイラ、君は・・・」
「てめぇ!友達が欲しいってだけで次々と宇宙船を襲いやがって!」 「だけ?」
コスモスの言葉をダイナが遮った。
ダイナの怒りの言葉に今まで笑っていたマイラの表情が敵意を示す顔に変わった。
「お前にはわかるのか!誰にも相手にしてもらえず一人ぼっちの者の気持ちが!」
マイラはダイナを睨みつけた。その目に涙がにじんでいたことにダイナは気付かなかった。
「甘ったれんな!友達ってのはな、お互いを認め合い、思いやり、助け合うんだ!
お前のはそんなの友達じゃない!ただの束縛だ!」
マイラの瞳が暗い輝きを放った。
さっきまでの明るい彼はなりを潜め、違う顔のマイラが現れた。


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「2004.08.25更新」

「そう・・・君たちとは仲良くなれると思ったけど・・・
僕の気持ちをわかってくれないなら消えてもらうしかないかな・・・」
マイラは右手を前に突きだした。マイラの手から細い光が放たれた。
「!!」
ダイナとコスモスは素早く左右に身を翻した。
二人の後ろにあった宇宙船が真っ二つにきれいに切断された。
ダイナは真っ二つに切断された宇宙船を振り返った。
ダイナはその宇宙船の姿に一瞬驚きの表情を見せたがすぐに悪と戦う厳しい表情に変わった。
「てめぇ!」
「ダイナさん、待って!」
ダイナはフラッシュタイプからミラクルタイプにタイプチェンジした。
「レボリュームウェーブ!」
コスモスの声も虚しくついに戦闘が始まってしまった。
ダイナが放ったレボリュームウェーブはマイラに直撃した。
強力な衝撃波に耐えられず、マイラは吹っ飛び浮かんでいた宇宙船に激突した。
「う・・・」
「ダイナさん!相手はまだ子どもなんですよ!」
子どもに放つには強力すぎる技を放ったダイナにコスモスは声を荒げた。
「悪い、やりすぎた・・・」
ダイナは顔をしかめてコスモスに謝った。
子どもに放つには強力すぎる技だということはダイナにもわかっていた。
だが、目の前にいる悪を許すことができないのがダイナの性格だった。
「トモダチ・・・・トモダチって何なのさ!!」
宇宙船からはい出してきたマイラは右手を正面に突き出した。
「うわっ!」
不意を突かれた攻撃にダイナは防御の構えもなく、
腹に受けた衝撃波で吹き飛ばされ、宇宙船に叩きつけられた。
「ぐはっ」
「どうして僕の行動を否定するの?!トモダチが欲しかっただけなのに!
一人ぼっちで誰も話しかけてなんかくれなくて、みんな自分達のトモダチと遊んでた。
僕だってみんなと話したかった、遊びたかった。それなのに!!!」
マイラは連続で衝撃波を放った。
「うわあぁ!!」
衝撃波はダイナの体を容赦なく切り刻んだ。
生暖かい液体が飛び散り、ダイナが体を預けていた宇宙船が賽の目のように切断された。
「ぐ・・・」
ダイナはかろうじて宇宙船に寄りかかっていた。
マイラの瞳から一筋の涙が流れた。
「もう・・・一人ぼっちは嫌なんだ!!」
右の拳に気を集めて巨大な衝撃波をマイラは放った。
「ダイナさん!!」
「・・・!!」
かわせない。ダイナは目を伏せた。
しかし、ダイナにはあの鋭い痛みは訪れなかった。
不思議に思い、正面をダイナは向いた。
「!!!」
「ぐっ・・・」
そこには両手を開き、ダイナをかばったコスモスの姿だった。
「コスモス!!」
ダイナは痛む体を起こし、コスモスに駆け寄った。
コスモスの体には刀で斬られたように袈裟がけに傷が作られていた。
「コスモス!なんてムチャなことすんだ!!しっかりしろ!!」
「ムチャなんて・・・ダイナさんほどじゃないですよ・・・」
崩れるコスモスをダイナは抱きとめた。
「僕より・・・マイラを・・・あのかわいそうなあの子の心を助けないと・・・」
「はあ?!コスモス!お前何言ってんだ!?」
コスモスはダイナの胸を押してゆっくり立ち上がるとマイラの方へ歩き出した。
「マイラ・・・君はずっと寂しかったんだね。友達が欲しかったのに誰も相手にしてくれなくて・・・」
「!」
マイラは驚きと恐れが入り混じったような表情をした。
コスモスはマイラに向かって笑みを見せた。
「だけど・・・もう君は一人じゃないよ。僕がいるから。」
「く、来るなっ!」
マイラは今度は小さな光弾を放った。
それはコスモスの右腕をかすめ飛んだ。
「友達はね、最初は相手のことがよくわからなくて傷付けあったりするけど、
時間を掛けて相手のことを理解してあげる。そして短所を補い合う。」
マイラは次々と光弾を放った。
コスモスはそれを防御する気もなく、体で受け止めていた。
「コスモス!!もうやめろ!!死んじまうぞ!!!」
「それが友達なんだよ。」
コスモスはダイナの言葉を無視して歩いていった。
マイラは光弾を放つ構えをした。
「!この・・・・」 ダイナは両手を胸に構え、そして右手を大きく振り、
円形のカッター光線、ダイナスラッシュを放った。
ダイナスラッシュがマイラに当たる直前、コスモスはゆっくり右手を水平に伸ばした。
ダイナスラッシュはコスモスの右腕を切り裂き、消えた。
「コスモス!!何のマネだ!?」
「ダイナさん・・・マイラの気持ちをわかってあげてください。
悪を倒すことだけが秩序を守ることじゃありません。」
コスモスは足を止めた。
マイラとの距離は手を伸ばせばすぐだった。
「新しく出発しよう。今からでも遅くないから。もう一人じゃないから・・・」
「!」 コスモスは手を伸ばし、マイラをそっと抱き締めた。
驚いたマイラは一瞬攻撃の構えをした。
しかし、すぐに攻撃の手を下ろした。
「トモダチ・・・君が・・・トモダチ・・・・」
マイラの瞳から涙が溢れた。
それはさっきの戦いの時流した悲しみの涙ではなく、暖かい涙だった。
「心を開いてくれたね。君はわかってくれると思ってたよ。
不器用で友達の作り方がわからなかったんだね。でも、もう作ることができるよね。友達が。」
「・・・うん。」
マイラがそう言った時だった。
「!!コスモス!!」
マイラの背中めがけて光線が閃いた。
ダイナはとっさにコスモス達にバリアをかけ光線は跳ね返された。
「ちっ。おとなしく騙されていればいいものを・・・」
コスモスはマイラを自分の背後にまわらせた。
ダイナはキッと光線が飛んできた方を睨んだ。
そこから白いボディに青い瞳をした宇宙人が空間から浮き上がるように現れた。
「お前は、スタンデル星人アボルバス!!」



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「2004.10.27更新」

「!あなたは・・・」
スタンデル星人を見たマイラは驚きの表情を見せた。
「久しぶりだなマイラ。随分たくさんトモダチを奪ったもんだな。」
「マイラをたぶらかしたのはお前か!」
マイラをかばいつつ戦闘体制のコスモスにスタンデル星人は冷酷な笑みをみせた。
「まぁ何とでも言えばいい。マイラ、お前が拘束した様々な種族の宇宙人は回収させてもらう。」
「回収だと?!」
ダイナは傷をかばいつつ戦闘の構えをした。
「そうだ。我々の星、スタンデル星はアボルバス族とレドル族、二つの種族が長い間戦っている。
戦いに勝つには兵士が必要だ。」
「じゃあ・・・じゃあ僕にその兵士を集めさせたの?!」
マイラはコスモスの背後から飛び出しスタンデル星人に青ざめた顔で問いかけた。
「今頃気付いたか。お前は今までよく働いてくれたよ。トモダチを作る。その願いのために・・・・」
「そ、そんな・・・」
マイラはがっくりとその場に座り込んだ。
コスモスはそっとマイラの肩を抱き、スタンデル星人を睨みつけた。

「お前・・・・お前は自分達の戦いに勝つために純粋な子どもの願いを踏みにじったのか!!」
「勝つためには手段を選ばない。それが戦いだ。邪魔な奴、用済みの奴は消えてもらう。それが私のやり方だ。」
スタンデル星人はコスモスに向かって青色の光線を放った。
コスモスは月の光のように優しく輝くムーンライトバリアでそれを防いだ。
「お前のように自分の利益のために他人を騙す奴は絶対許さない!」
コスモスはルナモードからコロナモード、そしてエクリプスモードにモードチェンジした。

「裁くべき相手はこいつだったみたいだな。」
ダイナはミラクルタイプからストロングタイプにタイプチェンジした。
「コスモス・・・悪かったな。あのとき、お前がいなかったら俺はマイラを倒してた。そして一生後悔してたかもしれない。」
「ダイナさん・・・」
ダイナはニッといつもの自信がみなぎってる笑いをみせた。
「いくぜ!」
ダイナはスタンデル星人に向かって走り出した。

「こしゃくな、そんな傷だらけの体で何ができる!」
スタンデル星人は右手を水平に動かした。
すると彼が動かした腕の軌道にブーメラン状の光弾が現れ、ダイナのほうに飛んできた。
ダイナは素早く空中にジャンプし、スタンデル星人に蹴りを入れようとした。
その時、スタンデル星人の青い瞳が怪しく輝いた。
「!体が・・・」
ダイナはスタンデル星人に蹴りを入れることなく地面に叩きつけられた。
「ふふふ、動けまい。」
左手をスタンデル星人はダイナの方へ付きだした。
すると、ダイナの体がふわりと浮き上がった。
そのまま左手を素早くスタンデル星人は動かした。
ダイナの体はハリケーンに吹き上げられたようにコスモスの方へ吹っ飛んでいった。
「ダイナさん!」
コスモスは吹き飛ばされたダイナとぶつかり、倒れこんだ。
「コスモス!大丈夫か?!」
「大丈夫です。」
二人はゆっくりと体を起こした。
間を置かずにスタンデル星人の瞳から巨大な光線が放たれた。
「うわあああ!!!」
光線は二人の正面に炸裂し、大爆発をした。
「う・・・」
「こんな体で私と戦おうなんて愚かな・・・」
スタンデル星人はコスモスの首を掴んで持ち上げた。
「ぐっ・・・」
コスモスのカラータイマーが点滅を始めた。
「てめぇ!コスモスを離せ!」
ダイナはスタンデル星人に体当たりをした。
しかし、ダイナがスタンデル星人にぶつかる前にスタンデル星人はコスモスを離し、
身を翻し、ダイナに向かって光線を放った。
「ぐあっ!」
ダイナは光線を正面にくらい、吹き飛ばされた。
二人のカラータイマーは赤く点滅し、エネルギーが残りわずかだということを示していた。
「ふん、これでおしまいだな。たわいのない。」
「く、くそ・・・」
スタンデル星人の瞳が青く輝いたときだった。



「2004.12.13更新」

一つの光弾が走り、スタンデル星人の瞳に命中した。
「ぐわああ!!」
コスモスは光弾が飛んできた方向を見た。そこにはマイラが右手をかざしていた。

「僕のトモダチ・・・最初のトモダチを殺させない!!」
「マイラ!!」
「ぐうう・・・ガキの分際で〜・・・」
スタンデル星人はマイラに向かって青い瞳から再び巨大な光線を放った。

「マイラ!!」
ダイナは痛みをこらえ、マイラの前に立ち、バリアを張った。光線とバリアが激しくぶつかりあった。
「〜〜負けるか〜〜!!」
ダイナは力一杯バリアを前に押し出した。
スタンデル星人の光線とダイナのバリアはぶつかりあう激しいエネルギーで爆発した。

「くっ・・・大丈夫かマイラ。」
ダイナは後ろにいるマイラを振り返った。
近距離で爆発を起こしたので多少ダイナにダメージがあった。
「だ、大丈夫・・・あなたは・・・?」
「平気さ。」

ダイナはニヤリと笑ってぐっとサムズアップをした。
「悪かったな、さっきは・・・」
「そ、そんなことないよ。僕が間違った考え方をしてたから・・・」
マイラはしゅんとうつむいた。
ダイナの体にはマイラによってつけられた切傷が生々しく口を開いていた。
ダイナはマイラの気持ちを察したのか、肩に手をポンと置いた。
「俺の傷を気にしてんのか?んなこと気にすんなよ。俺は打たれ強いんだぜ。」
マイラの額にできていた擦り傷をそっとダイナは触った。
「誤った考えに気付いて、正しい考えに持っていける。それができれば上等だぜ。大丈夫だ。お前はトモダチができる。」
ダイナはもう一度ニヤリと笑った。

「くそ・・・ウルトラ族が!!」
スタンデル星人は右手で光球を作り出し、ダイナに向かって放った。
「ダイナさん!!」
「おう!」
ダイナはスタンデル星人が放った光球を片腕で弾き飛ばした。
「コスモス!肩貸せ!」
ダイナはコスモスに向かって走り出した。
「え?」
コスモスがそう言うが早いかダイナはジャンプしてコスモスの肩に足を掛け、さらに高く飛び上がった。
ダイナは空中でひねりを入れるとスタンデル星人に蹴りを入れた。
スタンデル星人の左肩の突起がバキリと音を立てて折れ飛んだ。
「どうだ!これが友情のコンビネーションだ!」
ダイナは着地をしてスタンデル星人を睨んだ。

「まったく・・・ダイナさんは唐突なんだから・・・」
コスモスは口を尖らせてダイナを見た。
「俺の唐突は今に始まったもんじゃね〜だろ。」
ダイナはそんなコスモスに向かってニヤリと笑った。
「まぁそうなんですがね。」
コスモスもダイナに向かって笑った。

「貴様ぁ・・・よくも・・・」
スタンデル星人は折られた肩を押さえてゆっくりと立ち上がった。
「お前の体の痛みよりマイラの心の痛みの方がずっと痛いでしょう。」
「ふざけるな。そんなざれ言!」
スタンデル星人は両手をクロスさせ、腕を前につきだした。
水色の光線が腕から放たれた。
コスモスは右腕に左手を添えて頭上にかざし、半円の軌道を描いた。
コスモスの腕から三日月の光が現れる。

「エクリプスブレード!」
コスモスは腕を脇に引いた後両腕を突き出し、三日月の刃エクリプスブレードを放った。
エクリプスブレードはスタンデル星人の光線を切り裂き、スタンデル星人に直撃した。
「ぐわああ!!」
スタンデル星人はエクリプスブレードの威力にぐらりとよろめいた。
ダイナはそのスキを逃さずスタンデル星人の懐に飛び込んだ。
「ガルネイトボンバー!!」
ダイナはスタンデル星人を掴んで自分の頭上で回転させ、浮かんでいる宇宙船目がけて放り投げた。
「ぐわぁ!」
スタンデル星人は宇宙船に激突した。
宇宙船の破片が空間に散らばった。

「ダイナさん!」
「おう!」
ダイナはフラッシュタイプにチェンジした。
二人は腕をゆっくりとクロスさせた。
ダイナのエネルギーとコスモスのエネルギーが混じり合い、一つになる。
二人はクロスさせた腕をそのまま一回転させ、その腕をつきだした。
「クロスパーフェクション!!」
二人が放った光線は二つから一つになり、スタンデル星人に命中した。
「ぐああぁ!!!」
強力な合体光線をくらったスタンデル星人はゆっくりと仰向けに倒れ、爆発四散した。

「どうしてダイナさんとコスモスさんはそんなに仲が良いんですか?」
マイラはおそるおそるダイナとコスモスに聞いてみた。
「「え?」」
二人は顔を見合わせた。

スタンデル星人を倒した後、異空間に閉じ込められていた人たちは全員救出し、それぞれの星に送り届けた。
ダイナ、コスモス、マイラはその帰りだった。
「今はそう見えるかもしれないが最初は衝突ばかりしてたんだぜ。性格はまるっきり正反対だからな。俺たち。」
「でも衝突を繰り返して、僕たちはお互いを知るようになった。」
コスモスはにっこり笑った。
「相手から学ぶところを見付けて、自分の考え方を見直したり、逆にとがめたりした。それで今のようになったんだよ。 ね、ダイナさん。」
コスモスはダイナの方を見た。
「そうなんだ・・・僕もそんなトモダチになれたらいいな。」
「なれるさ。お前なら。」
ダイナは笑ってサムズアップした。
「ありがとう、ダイナさん。」
マイラはにっこり笑った。その顔には二人と戦ったときの物悲しい表情はない。
「さて、そろそろこの辺だな。お前と別れるの。」
ダイナはマイラの方を振り返った。マイラは少し寂しそうな顔をした。
「はい・・・」
「大丈夫だよ。遠くにいたって心は繋がってるから。」
寂しそうな顔のマイラにコスモスはダイナと同じようにサムズアップをした。
「・・・うん。辛いときがあったら二人のこと思い出して頑張るよ。」
「おし!よく言った!忘れんなよその言葉。」
ダイナはニヤリと笑った。マイラはそんなダイナを見て苦笑した。
「さよなら!」
「さよなら!」
「頑張れよ〜」
ダイナとコスモスはマイラが見えなくなるまでその姿を見送った。
マイラの後ろ姿は静かな大宇宙の闇に溶けて消えた。

「・・・さて、俺達もそろそろ行くか。」
「はい。」
二人はきびすを返し、飛び始めた。
ダイナは眉間にしわを寄せて自分の肩の傷を見た。
「痛ててて・・・マイラにやられた傷が痛むな〜あいつ、手加減無しにめちゃくちゃやったからな〜
・・・地球によって温泉でも入るか。」
「何言ってんですか。あんなにやられたのはダイナさんがあんな無茶な攻撃をしたからでしょ。
このくらいダイナさんだったら何でもないでしょ。」
コスモスはダイナの肩の傷をパシッと強く叩いた。
「痛てっ!触んなよ!俺はお前より傷が深いし多いんだからな!少しは怪我人の心配をしたらどうなんだ!」
「何が怪我人ですか。僕だって傷だらけなんですよ!」
コスモスはぷいっとそっぽを向いた。
こうしてダイナとコスモスは憎まれ口を叩きながらこの宇宙を進んでいった。

この後、二度と悲しい瞳をしたひとりぼっちの星人を見た人はいなかった。

END


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密室の中で文イフリー

「なぁコスモス」 「・・・なんですかダイナさん」
「腹減った。なんか食い物持ってねぇ?」 「持ってるわけないじゃないですか」 「だよなぁ〜・・・・」
ごろりとダイナはけだるそうに寝返りを打った。コスモスはため息をついて壁にもたれかかっていた。
ここはマグマ星人の円盤の中にある牢獄。銀色の壁で取り囲まれた窓もなければ家具もない。
さらに出口も見あたらない。まさに密室。
その中にダイナとコスモスは手を後ろ向きに特殊金属の鎖で縛られて放り込まれていた。
「だいたいあんな罠にひっかかるなんてな〜・・・」
「そうですね。もっと足下に気をつけなければいけませんでしたね。」 「あぁ・・・」
二人がこうして囚われの身になっている理由はこうである。
マグマ星人が平和なI銀河系のT2惑星に突如現れて攻撃を始めたのである。
宇宙の平和を守る使命をおびているウルトラ戦士はT2惑星に飛び、マグマ星人との戦いを開始した。
ダイナとコスモスはマグマ星人の円盤に侵入し、心臓部を探していたのである。
「くっ!でけぇ円盤だな。迷っちまいそうだ。」 「ダイナさん、油断は禁物ですよ。」 「わかってるって」
二人は狭い廊下を走っていた。銀色の廊下。
全ての廊下がさっき通ったような道だ。そのため、二人はこの円盤の心臓部を探すのに苦労していた。
「それにしてもおかしいですね。こんなに僕たちが走り回っているのにマグマ星人一人出てこないなんて・・・・」
「あっちの戦闘に手間取ってるんじゃねえのか?」
「それにしても無防備すぎます。」
自分たちが乗っている円盤を破壊されたら母星に帰れなくなるかもしれないというのに・・・・罠でしょうか?」
「その確率が高そうだな。」
ダイナはコスモスの前を走っていた。
ダイナはT字の通路を左に曲がった。コスモスもその後に続いた。
その曲がり角を曲がったとき、ふっとコスモスの視界からダイナの姿が消え去った。
「?!ダイナさん?!」
コスモスはまっすぐに続いている廊下に目をこらした。そして反対の通路にも目をこらした。
当然前にもその反対の通路にもダイナの姿はなかった。
不気味な静寂がコスモスを襲った。
その時、突然コスモスの立っている場所の感覚がふとなくなった。 「!」
下を見るとそこは暗い闇。しまったと思った時には時既に遅し。 「!!!?うわっ!!」
コスモスは飛ぶこともままならず、その暗い闇の中に吸い込まれていった。
その闇はブラックホール式落とし穴だったのである。
つまり、近づいたら吸い込まれる落とし穴で回避はほぼ不可能に近い落とし穴である。
気が付いたら二人はこの銀色の密室の中に手を縛られて入れられていたわけである。
「注意力が足りませんでした。罠があると知っていたのに・・・」
「だよな。足り無くなかったらこんなドジ踏まなかっただろうな。」
「これから気をつけないといけませんね。小さなミスが大きなピンチにつながりますからね。」
「その大きなピンチがまさに今だな。」
『まったくのんきな会話をしているものだね。ウルトラ戦士の二人よ。』
はっとして二人は声のした方向をにらんだ。
二人の目の前にビジョンであろう、体が透き通ったマグマ星人の姿が現れた。
マグマ星人は冷たい笑みを見せながら二人を見下ろしていた。
ダイナは寝っ転がったままマグマ星人に向かってにやりと笑った。
「よう。いつになったら俺たちを解放してくれるんだい?」
『残念ながら君たちを解放するわけにはいかないのだよ。永遠にね。』
「僕たちをどうする気だ。」
『さあ、どうする気かな・・・?』




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「2004.01.27更新」

モニターであるマグマ星人は不敵にこの銀色の密室を歩いた。
マグマ星人はこの銀色の壁にそっと手を触れた。
銀色の壁は鈍い輝きを放ってマグマ星人の金色の髪をさらに美しく輝かせた。
マグマ星人は二人のほうに振り返った。
『今からここを徐々に暖めて蒸し焼きにするつもりだ。
だんだんあがっていく熱に君たちはどこまで耐えることができるかな?』
「へぇ、ウルトラ戦士の蒸し焼きの完成か。でも俺おいしくないと思うぜ。」
ダイナは起きあがって銀色の壁に目を向けた。
その目はそんなことまったく怖くないぜ、やれるもんならやってみろよ、という挑発の目だった。
一方コスモスは死ぬか生きるか、という緊張感を持った瞳をしていた。
『ふふふ、君たちが蒸し焼きにされて死んだら誰が泣いてくれるかな?』
「ふざけるな。僕たちは生きる!」
「そうだな。ティガとか悲しんでくれるかな?ガイアなんかは大泣きしてくれるだろうな。アグルは・・・・」
「やめてくださいよ!自分が死んだら誰が悲しむかを考えるなんて。」
コスモスは脳天気に誰が悲しんでくれるか考えているダイナをにらんだ。
ダイナはそんなことなどお構いなしのようにあぐらをかいて次々とウルトラ戦士の名をあげていた。
その姿はとても自分たちがピンチに陥っている姿ではなかった。
その様子をマグマ星人はあきれたように眺めていた。
『ふっまあそんな余裕なことを言ってられるのも今のうちだよ。
もうこの部屋の温度はもう徐々に上がってきているんだからな。』
そう言ってマグマ星人のビジョンは消えた。
コスモスは手を縛っている鎖をはずそうと必死に手を動かしていた。
「何やってんだ?コスモス」
「早くここから脱出しないと僕たちは蒸し焼きですよ。」
「その鎖をはずしたところでこの部屋のどこに出口があるってんだよ?窓もなにもねぇじゃねえか。」
「ないように見えても必ずありますよ。そうでなければ僕たちをここに閉じこめることができないですからね。」
ダイナはあくびをして壁にもたれかかっていた。
こうしている間にも二人が閉じこめられている部屋の温度は上昇していた。
「くっ!少しづつですが確実に温度が上昇してますね。」
「今の温度が地球のハワイって島の常温なのかな?そう考えるとリゾート気分になれるな。」
「僕は全然そんな気分にはなれませんよ。地球の青い空も青い海もないんですから。
今、自分が死ぬか生きるかの瀬戸際なんですよ?どうしてダイナさんはそんなに余裕なんですか?」
「お前と一緒なら怖くねぇからな。」
「・・・気持ち悪いこと言わないで下さい!ここからどうにか脱出して皆さんの笑顔を見ましょうよ!」
「それも悪くねぇな・・・」
こうして温度が上昇している部屋の中でそれ以降二人は会話をしなかった。
銀色の壁はそんな温度などまだ熱くないと言うかのように変形もせずに二人の様子を黙って監視していた。
温度は容赦なく上がり、太陽の黒点の温度まで上昇していた。
コスモスはぐったりとうつむいていた。
「・・・だいぶ息をするのが苦しくなってきました・・・」
「おいおい、さっきまで脱出しようとしていた気力はどうしたんだよ?」
ダイナはこんな温度などどうってことないと言うような表情をしてコスモスの顔を見た。
一方のコスモスはこの熱さが苦しいのか、ぐったりと壁にもたれかかっていた。
『どうだね?太陽の黒点の温度の部屋は?』
コスモスはキッとマグマ星人の声がする方を見据えた。
今度はマグマ星人のビジョンは現れずに声だけ上の方から聞こえていた。
ダイナはニヤリと上の方をにらんだ。
「まだまだ余裕ってところ。こんなんじゃ汗かいて痩せもしねぇぜ?」
『やせ我慢かい?もうすぐ太陽の外側の温度だよ?』
「へっ・・・・お前ぇらが俺たちを笑ってられんのも今のうちだよ。」
『君たちに何か策があるとでもいうのかい?』
「ふん・・・・」
ダイナはそれ以上言葉を続けなかった。
コスモスはダイナの余裕の横顔を大きな息を吐きながら見た。
コスモスはダイナがどういう考えを頭の中に張り巡らせているのか想像も付かなかった。
ただ、何か大きな事を考えている。
そうダイナの横顔から感じ取っていた。
「まぁいい。あと少しで君たちの・・・ぐっ!貴様いつここに!?ぐあっ!」
突然マグマ星人の声が慌てた声になり何者かと争っている音が聞こえ始めた。
すぐにその格闘しているであろう音は聞こえなくなり、マグマ星人の声も聞こえなくなった。


「2004.02.14更新」

「な、何が起こったんでしょうか?」
ダイナはもう一度にやりと笑った。
「来た来た。」「?」
コスモスがダイナの笑う姿に首をかしげたとき、ダイナが見据えていた正面の壁が真一文字に切り裂かれた。
そして大きな音がして壁が二人の方に倒れた。
密室に籠もっていた熱気が一気に外に出て行った。
ヒヤリとした部屋の外の空気が二人の肌に触れた。
「遅かったな。」「あ・・・!」
コスモスは目を丸くした。そこにはヴェルザードを手に握っていたセブン21が立っていたのだ。
「悪かったな遅くて。」
セブン21はヴェルザードを手に握ったまま二人の方へ足を進めた。
そしてかがみ込んでコスモスとダイナの手を縛っている鎖をヴェルザードで切り捨てた。
「大丈夫だったか?コスモス」
「はい!ありがとうございますセブン21さん。」
「俺の心配はしてくれねぇのかよ?」
ダイナはコスモスの心配をしているセブン21を横目でにらんだ。
セブン21はその視線を感じないふりをしてダイナを一瞥した。
「お前は太陽の中心に落ちたって死なんだろう。」
セブン21はヴェルザードを頭部に戻した。
「それよりセブン21さん、どうしてここを・・・?」
「俺が呼んどいたんだ。あの落とし穴に落ちる直前に。」
ダイナはあの落とし穴に落ちる直前にフラッシュタイプからミラクルタイプにタイプチェンジし、
ウルトラマジックで分身を作り出し、
分身をマグマ星人の円盤から脱出させて仲間のもとへ走らせたのだった。
「それでお前達が捕まったってことを知ったんだ。」
「俺がそうやすやすと捕まってたまっかってんだよ。」
ダイナはどうだ、というようにグッと親指を立ててサムズアップをした。
コスモスはそのダイナの姿を呆然と見ていた。
「で、くだらねぇ会話をしてマグマ星人の注意をこっちに向けて、
セブン21がこの円盤の心臓部と俺たちが閉じこめられてる部屋を探し出す時間稼ぎをさせたってわけ。」
「・・・・・」
コスモスは開いた口がふさがらなかった。
まさかダイナが落とし穴に落ちる前にそんな冷静にことを進めていたとは思えなかったのだ。
それに比べて自分はあっさりとマグマ星人の罠にはまり、狼狽していた。
そんな自分をコスモスは情けなく感じた。
コスモスはしゅんとうなだれた。
「ごめんなさいダイナさん・・・ダイナさんがあのとき、
そこまで冷静な判断をしていたなんて思ってませんでした・・・」
ダイナは一瞬きょとんとした顔をした。
しかしすぐにいつもの笑みを見せてコスモスの背中を勢いよく叩いた。
「気にすんなって!何も言わなかった俺も悪かったしよ。でも・・・」
「?」
ダイナは何か企んでいるような目をしてコスモスの方を見てにやりと笑った。
「昼飯おごれよ!」
コスモスは拍子抜けした。
ダイナさんには敵わないな。そう思いながらコスモスは苦笑した。
「・・・・はい!」
コスモスがそう言ったとき、ドーンと何かが爆発するような音が銀色の部屋の上から聞こえ、
円盤が地震のように揺れだした。
コスモスとダイナは強く揺れる床に慌ててバランスをとろうとした。
セブン21は二人のほうを振り返った。
「脱出するぞ二人とも!
さっき、この円盤の心臓部を破壊したから円盤が本格的に崩壊し始めたらしい。」
コスモスとダイナは円盤に侵入したときと同じように緊張感を持った表情を取り戻していた。




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「2004.03.07更新」

「おう!」 「はいっ!」
セブン21を先頭に三人は崩壊が始まっている円盤の通路を走った。
角を左に右に、曲がったりまっすぐに行ったり。
セブン21は同じように見える廊下を違う道を見るかのような目つきで風のように走った。
三人が円盤から脱出して約十秒後、マグマ星人の円盤は紅蓮の炎を上げて爆発四散した。
T2惑星でウルトラ戦士と戦った者、円盤の中にいた者、すべてのマグマ星人が捕縛され、T2惑星に平和が訪れた。

「これと、これとこれと・・・・これ!」
「・・・あのダイナさん。ちょっと注文しすぎだと思うんですが・・・」
事件も一段落し、二人のいきつけのカフェテリアでダイナは足を組みながらメニューを開いて注文していた。
その様子をコスモスは冷や汗を一筋垂らして見ていた。
「昼飯おごれって言ってうんって言ったのコスモスじゃねぇかよ!
ちょっとぐらい大判振る舞いしろよな。
俺があのときセブン21に連絡してなかったら俺たち蒸し焼きになってたんだからな。」
「それは感謝してますけど・・・でもこれはちょっと・・・」
セブン21は今読んでいた新聞から目を離してコスモスの方に顔を向けた。
「・・・・コスモス、食事をおごると言ったのが墓穴だったな。
ダイナは大食いで有名だ。」
「え?本当ですか?」
コスモスはセブン21の言葉を聞いてびくりと顔がこわばった。
「ああ、本当だ。こいつは前回、その前回と大食い選手権で優勝している。」
「・・・僕のお金足りるかな・・・?」
コスモスは笑顔でメニューを見ているダイナの顔をちらりと眺めた。
セブン21は紅茶を飲みながら新聞に再び目を通し始めた。
この事件をきっかけにコスモスとダイナの友情が深まった
・・・かどうかは定かではない。